『神さまの怨結び』を読んでみた

こんにちは、はるばぁです。
漫画が好きで、気がつけば電子書籍の冊数が四桁を超えていて驚きました。
せっかくなので良かったもの、もそうでもなかったものも(笑)ご紹介していければと思います。

神さまの怨結び

漫 画:守月史貴(かみづきしき)
発 行:㈱秋田書店
発刊数:1~12(完)

はるばぁの評価

人物作画 :★★★☆☆
背景作画 :★★★☆☆
ストーリー:★★★☆☆
おすすめ度:★★★☆☆

作品導入部

古びた神社で首つり自殺をした男の前に蛇(くちなわ)と名乗る巫女装束姿の少女が現れる。
かつては縁結びの神だったと言うが、今では悪魔のような存在となり果てている。
自殺した男は『首吊り』と呼ばれ、くちなわの願いが叶うまで生きるも死ぬも許さんと言われ、この神社から出ることの出来ないくちなわの手足となって働く事になる。
自分の願いを叶えるため、他人を恨み呪って止まない愚かな人間どもを山程集めよと命じられる。

誰かを恨みこんな奴いなくなればいいのにと考えた者のところに、首に真っ赤な縄を巻いた男が現れると噂になる。

そんな中、同級生の男子稲葉から胸が大きい事でからかわれ続けていた櫻は、あんな奴消えてしまえばいいのにと願う。すると首に真っ赤な縄を巻いた『首吊り』が現れて、神社へと連れていかれる。
神社の主蛇は櫻にその願いを叶えてやると言う。その方法は呪う相手と一度交わり怨(えん)を結ぶこと。即ち呪うほど嫌いな相手とセックスしなければならないのだ。

蛇(くちなわ)とは運命の赤い糸のもととなった赤い縄のこと。怨(えん)を結びて縁を切るもの。
しかもこの呪いを使った者はその後生涯誰とも結ばれなくなる。

その説明を聞いて、それでも呪いを使うという櫻を首吊りはやめるよう説得するが、櫻は呪いを行使してしまう。
呪いの力で容易くその状況が作られた櫻は稲葉と交わり、呪いは成就されてしまう。
『消す』という言葉通り稲葉は消えた。着ていた衣服だけを残して。

突然行方不明になった稲葉について、クラスメイト達は稲葉が櫻をからかっていたのは櫻にかまってほしかったからで、子供っぽい稲葉は好きな子の気を引くためにあんな態度を取っていただけなので、稲葉が帰って来たら優しくしてあげてほしいと告げた。

稲葉の気持ちを知り、しかし既に呪いを行使してしまった櫻はその複雑な気持ちをごまかすように、その後幾人もの男と付合い体を許すが、蛇(くちなわ)の言葉通り誰にも恋愛感情が生まれることは無かった。

そしてまた一人、呪いを望む少女が…。

感想

呪詛・ホラーテイストのある作品。
オムニバス形式で、少しずつ蛇や首吊りの背景が明らかになっていく。
絵は全体的に悪くはないが、少々雑味が感じられる。

呪いの条件としてセックスが含まれるため、そういったシーンは多い。そして少々猟奇的なシーンもあるので、性行為や残虐な描写が苦手な人は避けたほうがいいかも。
ストーリーとしてはオムニバス形式なので登場人物が多くなるが、各話の主人公たちは個性があり、怨結びの呪いを行使する動機などもしっかりと描かれているところがいい。
一つ一つの物語が終盤に向けて絡み合い、大きなうねりになっていくところは上手く描かれていると思う。

最終的に物語はハッピーエンドかバッドエンドかということになると思うが、この作品はそういう枠にないように思う。
救いを求めて救われた者と、救いを拒んで救われなかった者。必ずしも前者がハッピーエンドで後者がバッドエンドとは言えないのではないかと考えさせてくれる作品だと思う。

最後に。
ただひたすらに怖さを追求する作品ではないので、純粋にホラー漫画が好きな人にはお勧めしません。
呪いの根源は人間の感情や状況であるという、どちらかと言えば心理的な要素が多い作品かな。心理サスペンスの呪い版のような?(笑)
はるばぁはジャンルにこだわりはなくて、それこそタイトルが面白そうとか表紙のカラー絵がいい感じとか、そんな理由ででも購入しちゃうから、正直『はずした~』って思うことも多々あるんだけど、この作品はタイトル買いだったけど良かったと思う。
エロもグロも多少なら大丈夫・オムニバス形式が好き・ホラーテイスト好きな人にお勧めします。

はるばぁのひとりごと

世の中には色んな縁があるよね。
人との縁・物との縁・場所との縁。
はるばぁは出来る限り良い縁は大切にして、悪い縁は早急に切るように心掛けてる。
でも良い縁を大切にすることはわりと簡単なんだけど、悪縁を切るっていうのは結構大変。こっちが望んでないのにやってきて、なんだかんだと厄介ごとを振りかけて来るんだよね(泣)
これ物だったら捨てればいいけど、人との場合他の人との関係性だったり所属している組織(学校・職場・コミュニティなんか)での立ち位置だったり、自分だけのことでは済まないことの方が多いから、正直難しいんだよ。
同じように場所も難しいね。引っ越しすればいいんだろうけど、学校や仕事の都合もあるし、例えばご先祖様から受け継いだ土地で農業とかしてたら、それこそ簡単に廃業ってできないだろうし。
個々の事情が違うから一概にはこれが正解って言えるものもないしね。

良縁と悪縁の区別も難しいかな。これも人によって全く違うだろうし。
例えばインドア派の人とアウトドア派の人がカップルになったとして、デートの度にどこでデートするかで揉めて喧嘩になってたら良縁とは言いにくいかも知れないけど、お互いが交互に自分の好きなところを紹介しあって、ちょっとずつインドアのこれ面白いかもアウトドアのこれ楽しいかもって、今までの自分になかったものを得ていけたら、それは良縁って言えるんじゃないかな。

良縁も悪縁も結構自分の受け取り方次第ってとこが大きいかも。
はるばぁは自分が良縁だと思う人や物に出会えたら、その出会いを大切にしようと思う。
良縁だと思える出会いはそんなに簡単に転がってないと思うから。

自分を成長させてくれる、良い方向に導いてくれる、そんな出会いがたくさんの人にあるといいな。